相談事例

CASE

自分の死後の希望は遺言書に書いておけば大丈夫ですか?死後事務委任契約と遺言の違いはなんですか?

2017.1   櫻井 の回答

毎年、年の初めに遺言書を見直す方がおられます。自分を取り巻く人間模様はどんどん変わるからだそうです。「死後のことは遺言書で。」とお考えの方が多いと思いますが、遺言書で決めておけることは限られています。主に「ご自分の財産を誰に相続させるか」、「遺贈するか」、「遺言執行者を誰にするか」など15項目(数え方は人により若干異なります)です。お葬式のこと、納骨のこと、残された残置物の処分のこと等は、書いてあっても遺言としての効力はありません。そこで、これらのことも自分で決めておきたい場合、別途死後事務委任契約を生前に結んでおけば、実現できます。

 

 先日、私が任意後見人をしていた花子さん(仮名)が、夜中の2時にお亡くなりになられた旨、病院から連絡がありました。花子さんには身寄りがなかったので、私と死後事務委任契約を結んでいました。私は契約のとおり、予め決めていた葬儀社にお願いし、翌日お寺さんに連絡を取り、翌々日に打ち合わせのとおりの規模のお葬式を行いました。亡くなったことを連絡して欲しいとお伺いしていた友人や施設の方に連絡を取り、何人かの方がお葬式にいらしてくださいました。その後、納骨も終わり、永代供養をお願いしました。そして、未払いの入院費や施設費を支払い、入居していた施設の部屋の明け渡し、残置物の処分、年金の停止など細々とした手続きを行いました。そして、遺言執行者にもなっていましたので、遺言書に基づき、ある子育てのための基金に残された財産を遺贈しました。

 

 私は、後見については、「あなた任せ」ではなく、オーダーメイドできる任意後見制度の活用を」とこれまで書いてきました。任意後見制度は、ご本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、後見人となって欲しい人と予め任意後見契約を締結し、その人に自分の判断能力が低下したらどのようにして欲しいかを伝えておくというものです。しかし、後見人の業務は、法律上ご本人の死亡と同時に終了します。

 

 そのため、自分が生きているうちのことを決めておく「見守り契約・財産管理等委任契約・任意後見契約」、死後のことを決めておく「遺言・死後事務委任契約」この5つをセットで公証役場にて作成されることをお勧めしています老後の安心のためにご検討ください。

ページTOPへ