相談事例

CASE

「ライフプラン」とはなんですか?

2015.1 櫻井 の回答

現在、私は15名の方の後見人と5名の方の任意後見受任者となっています。後見人の業務は、被後見人(以下、「本人」といいます。)がより良い生活が送れるよう生活面、療養介護面、財産管理面のサポートをすることです。

私のような親族ではない第三者の専門職が法定後見人として家庭裁判所から選任されるケースでは、初めてお会いしたとき既にご本人の判断能力は低下していて、ご本人の意思をお聴きすることが難しいことが多いです。ほとんどの場合、親族はいらっしゃらないか、いらしても疎遠で、これまでのご本人の歴史もお聞きすることができません。

 

後見人は本人の財産を本人のためにのみ使うことができます(もちろん、本人がこれまで扶養していた家族等がいる場合、本人の財産から考えて扶養する余力があれば、その家族等のために必要な範囲内で、家族のために本人の財産から支出することはできます。)。そこで、後見人として一番悩ましいことは、「本人のため」とは何かということです。本人に判断能力があるうちに将来に備えて締結しておく任意後見契約には、私は必ず「ライフプラン」を付けます。

ライフプランとは、予め本人から自分の判断能力が低下した後どのような生活を送りたいか、療養看護はどのようなものを求めているか、財産管理はどのようにして欲しいか等の希望を聞いておき、任意後見契約発効後の後見業務の指針とするものです。遺言は死後の本人の意思ですが、ライフプランは本人が生きている間の意思です。

後見人は他人のお金を長期間預かるわけですから、当然使い方は慎重になります。ご健在の間にお金が足らなくなったら大変です。また、後見人が本人のためにお金を使うことは相続人の相続財産を減らすことになり、推定相続人と利益が相反する側面があります。したがって、本人のためとはいえ、本人の意向が不明な場合は、家庭裁判所や推定相続人から疑惑を招くことがないような保全型の静的な財産管理となります。逆に、ライフプランに「優雅に暮らしたい。自分のために財産を使い、残すことは目的ではない。」という本人の記載があれば、仮に推定相続人である親族から後見業務につき「お金を使いすぎる」というクレームがでても、後見人はそれを印籠代わりに安心して本人の意向に沿った活用型の動的な財産管理ができます。

もちろん、後見人はライフプランがない場合でも、何とか本人のために財産を生かすことを考えます。毎月の収支がプラスになる方や財産のある方は、施設で介護保険を使い切っている場合でも、自費でデイサービスを利用し、外の方と触れ合う機会を設けたり、リハビリをしてもらったりしています。体を自ら動かすことができない方に、医師の了解を得てマッサージ施術の出張をお願いしたり、時にはエステの出張サービスを利用したり。週2回半日介護ヘルパーさんに散歩や話し相手をお願いしたら、これまで車椅子に無言で座っていらした方の表情が和らぎ、歌に合わせて拍子をとるようになられたこともあります。

 

今、世の中は終活を、エンディングノートをと盛り上がっています。その中に是非、ご自分の判断能力がなくなったときの明確なご希望を書いておいて下さい。後見人ばかりでなく、家族の方もとても助かると思います。できれば、任意後見契約を締結し、ライフプランも契約の一部として公正証書とするか、あるいは独立した私署証書とし、公証人の認証を受けておかれると安心です。ライフプランは、判断能力がある間であれば何時でも何度でも書き直しができます。ご面倒でも変更後のライフプランにも公証人の認証を取っておかれるとよいでしょう。

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