相談事例

CASE

生前贈与について教えてください。

2007(2019.4修正)   担当者 の回答

生前に相続予定者に資産を移すと贈与税がかかります。贈与税の課税方法には、「暦年課税」「相続時清算課税」の2つがあります。「暦年課税」の場合、年間110万円の基礎控除があり、110万円以下の贈与を何年にも分けて贈与を繰り返せば、相続税を払わずに資産を移すことが可能です。

 しかし、財産額が多ければ何十年にも渡ってしまいます。そこで、早めに大きな資産の移動をしたい場合には、2003年(平成15年)に新設された「相続時精算課税制度」を活用してはいかがでしょうか。

 安易に不動産を子供の名義で購入し、税務署から思わぬ多額の贈与税がかかると言われ、慌てて更正登記をして欲しいと事務所に来られることがあります。不動産に限らず資産の購入や移転には、税金について十分な注意が必要です。

「相続時精算課税制度」とは

贈与者:贈与の年の1月1日現在で60歳以上の父母又は祖父母、受贈者:20歳以上の子や孫である推定相続人の条件を満たせば、2,500万円までの特別控除が受けられる制度です。

この特別控除枠は2,500万円に達するまで何回でも利用することができます。毎年の贈与額の合計が、2,500万円を超えた部分には、一律20%の贈与税が課税されます。この時支払った贈与税額は、相続発生時に贈与財産の価額を相続財産と合算して計算された相続税額から控除されます。

 

この制度は、財産の贈与をする人ごと、贈与を受ける人ごとに選択することができます。しかし、一度この制度を選択すると、その贈与者が亡くなるまで制度の適用が継続され、途中で暦年課税に変更することはできませんので慎重な検討が必要です。

「相続時精算課税制度」のメリット

  • 早い段階で大きな金額を一度に移転することができる
  • 相続時の精算により納めた贈与税の取戻しが可能
  • 将来、価値が上りそうな資産も贈与時の価値で課税されるので早いうちに移転させることで節税が期待できる

  • 収益財産(駐車場、賃貸物件、配当の高い株式等)を早いうちに多く移転させることで、収益分によって次世代の財産作りが可能となる(例えば賃料収入を親から子供の所得に移動ができます。)
  • 特定同族株式等の贈与も併用できる
  • 住宅取得等資金の贈与も併用できる

「相続時精算課税制度」のデメリット

  • 一度適用を受けると、相続時まで継続しなければならない
  • 将来、資産の価値が下がった場合は余分に相続税がかかる
  • 相続時に小規模宅地等の特例を利用することができなくなる
  • 贈与を原因として不動産の名義を変える場合、登録免許税が相続より高い。不動産取得税がかかる。

したがって、「相続時精算課税制度」の利用は、収益財産を移転する場合や相続財産に相続税のかからない場合はお勧めですが、相続財産が多い場合は専門家のアドバイスが不可欠です。判断が難しい場合は当法人と提携している税理士をご紹介することもできます。

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