相談事例

CASE

不動産登記の制度改正により今の権利証は無効になったのでしょうか?その他の改正点も教えてください。

2006.1(2019.4修正)   櫻井 の回答

2005年(平成17年)3月、高度情報化社会にふさわしい制度とする目的で不動産登記制度の全面改正(以下、「新法」といいます。)が行われ、インターネットを利用したオンライン申請の手続きが導入されました。

 

これまで、不動産を購入や相続した際に不動産の権利を取得した人には、登記が完了すると登記所から登記済証(いわゆる「権利証」)が交付されていましたが、これからは「登記識別情報」という12桁の英数字を組み合わせた情報(いわゆるパスワードのようなもの)が紙に印字され、その上に目隠しのシールが貼られた状態で登記所から交付されます。この登記識別情報を他人に知られてしまうことによるリスクを考え、シールを剥がさずに保管されることをお勧めしております。なお、登記識別情報は登記済証とは違い「いらない(不通知)」「もらったけど失効させて(失効の申出)」ということもできます。(現在は、登記識別情報を記載した部分が隠れるよう,A4サイズの用紙の下部を折り込んで当該登記識別情報を被覆し,その縁をのり付けする方法に変更されています。目隠しシールは時間がたつときれいに剥がれなくなったためです。)

また、この制度は登記所ごとに時期を異にして導入されます。オンライン指定庁になって初めて登記済証の代わりに登記識別情報が提供されますので、暫くの間は従来どおり権利証を交付する登記所と登記識別情報を交付する登記所が並存することになります。(現在はすべてオンライン指定庁になっています)

  ご注意いただきたい点は、今まで交付されていた登記済証は無効になるわけではなく、その権利を移転しない限り、何年たっても有効な登記済証として扱われることです。ですから、絶対に権利証を捨ててしまわないで下さいね。

 

次に、新法施行と同時に全ての登記所で売買契約書、抵当権設定契約書、遺産分割協議書等の登記原因を証明する「登記原因証明情報」が登記申請に必須の添付書類となりました。このような書面や記録を作成することにより、後日の紛争を防止する効果が期待できます。

  また、旧法下では登記原因の有効性を確認する具体的な資料は何も登記所に残っていませんでしたが、これは登記所に保管されることになりましたので、利害関係人はその閲覧を通して登記の真正を確認することができるようになりました。将来、裁判の有力な証拠として威力を発揮するかも知れません。

 

その他の主な改正点として、当事者出頭主義が廃止され、郵送でも登記申請ができるようになりました。保証書制度が廃止され、新たに事前通知制度、資格者代理人による本人確認情報の提供制度ができました。

不動産登記も商業登記もその登記されている内容はパソコンで簡単に取得できるようになりました。一足先に始まった商業登記のオンライン申請は使い勝手がよく愛用しています。一方、新法の眼目である不動産登記のオンライン申請の普及はしばらく時間がかかりそうです。

一つの取引に係わる全ての個人や法人は、各々住基カードや電子認証カードを取得する必要があります。システム自体も複雑怪奇で前途多難です。でも、後戻りはできません。法改正に対し守旧派といわれた法務省と司法書士は協力して国民の権利の保護に寄与できる最善の道を探っていく責務があると思っております。

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