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【お知らせ】令和5年4月1日より不動産登記事務の取扱いが一部変わりました。

2023.7   山上

民法等の一部を改正する法律が令和5年4月1日に施行されたことに伴い、不動産登記事務の取り扱いも一部変更されました。今回の改正で登記手続きが簡略化され単独申請できるようになった主なものをご紹介します。

 

相続人に対する遺贈登記

「遺贈」による所有権移転登記では、遺言執行者(遺言執行者が選任されていない場合は相続人全員)と受遺者(遺贈を受ける人)による共同申請が原則ですが、相続人に対する遺贈に限って受遺者が単独申請できるようになりました。 

受遺者相続人による単独申請では、共同申請時に必要な「対象不動産に係る登記済証・登記識別情報(いわゆる権利証)、遺言執行者(若しくは相続人全員)の印鑑証明書等」は不要です。 

 

買戻特約登記の抹消 

買戻特約とは、売買契約と同時に結ぶ特約で、「一定期間内に売主が買主に対して売買代金等を返還すれば売買契約を解除して所有権を取り戻せる」というものです。都道府県や住宅供給公社などの公的な機関が買戻権者(売買契約の売主)になっていることが多く、買戻しできる期間は最長10年、この特約を結んだ場合は買戻特約の登記をする必要があります。しかし、買戻期間が経過し買戻権を行使できなくなった後もこの登記は当然には抹消されず、買戻期間満了後の古い登記が残っていることがしばしばあります。 

買戻特約登記の抹消は買戻権者と現所有者(売買契約の買主)による共同申請でしたが、買戻特約がされた売買契約の日から10年を経過した買戻特約登記については、現所有者が単独申請できるようになりました。 

現所有者による単独申請では、共同申請時に必要な「買戻特約の権利証、買戻権者の印鑑証明書(公的機関の印鑑証明書を預かるには1~2週間余分に時間と手間が掛かり少々厄介でした。)」は不要です。 

 

法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続 

法定相続分による相続登記をした後に、遺産分割協議が整った、他の相続人が相続放棄した、遺言書が見つかった等で相続分が変わるケースがあります。登記を正しい相続分に直すためには、持分が減る(若しくは無くなる)相続人を登記義務者、持分が増える相続人を登記権利者として共同申請による持分移転登記を行う必要がありましたが、所有権の「更正」登記により登記権利者が単独申請できるようになりました。 

登記権利者による単独申請では、共同申請時に必要な「登記義務者の対象不動産に係る権利証や印鑑証明書」は不要です。また、登録免許税は再度移転する持分につき固定資産評価額の1000分の1(相続登記と同じ割合)掛かっていましたが、不動産1筆当たり金1,000円(更正登記のため)と格段に安くなりました。

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