相談事例
CASE
2013.7 担当者 の回答
合同会社(LLC)とは、2006年(平成18年)の会社法施行により新設された会社形態です。合同会社の設立件数は増加傾向にあり、法務省によると2012年(平成24年)には1万社を超えました。増加の大きな理由として、次の2点が挙げられます。
■株式会社より設立・維持コストが安い
■小回りの利く機動性に富んだ事業運営が可能であること
合同会社は株式会社と有限責任事業組合(LLP)の言わばいいとこ取りで、スモールビジネスや子会社の会社形態として最適といえるでしょう。米ウォルマート・ストアーズ傘下の西友など海外企業の日本法人でも、取締役会や株主総会などの開催が不要となり、迅速な意思決定が可能となることから、合同会社へ組織変更しています。
株式会社は原則として株主と経営者は別ですが、合同会社は株主にあたる社員が原則として業務執行権を有し、所有と経営が一致しています。この点では、従前からあった合名会社・合資会社も同じですが、合名・合資会社の場合、出資者(全員又は一部)の責任が直接無限責任※であるのに対し、合同会社は株式会社と同じく間接有限責任※です。
※直接無限責任…会社の財産で債務を弁済出来ない場合、出資者がどこまでも責任を負い、債権者から直接その責任の追求を受ける
※間接有限責任…出資の範囲内において責任を負い、既に出資を履行していれば、それ以上に責任を負わない
株式会社では、株主総会など一定の監視機関の設置が義務付けられ、開催のための諸手続きや時間が必要です。
株式会社では、大会社は会計監査人の設置義務や内部統制システムの整備義務があります。このため極東石油工業合同会社など大会社が合同会社へ組織変更するケースもあります。
出資比率に係らず事業への貢献の度合いなどに応じ、利益配分・損失負担・権限の配分など自由に決定できます(株式会社では原則的に出資額に比例)。逆に、出資者が多い場合、合同会社では会社の意思決定が難しくなるため、少数の出資者により設立される会社に向くと言えます。
合同会社は定款自治の範囲が広く自由に定められる反面、事業に最適な定款を作成するには法務的知識が必要です(定款変更には原則として総社員の同意が必要)。ご検討の際にはご相談下さい。