相談事例

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外国人を雇用する際に気を付けるべきポイントはありますか?

2023.1 田代

アルバイトや正社員の募集に応募してきた外国人について、就労できるかどうかを判断するのはある程度の知識がないと難しいものです。パスポートや在留カード、在留資格について簡単に解説します。

面接には、必ずパスポートと在留カードを持って来るよう伝えましょう。在留カードは常時携帯義務がありますが、必ず忘れてくる人がいます。

1. 面接時の確認事項

雇用前の身分確認です。日本語能力については、本人と話してみれば分かりますよね。

パスポートの確認事項・・・

顔写真、氏名、生年月日、性別、国籍、パスポートの有効期限、上陸年月日と上陸時の在留資格、指定書の有無など。偽造パスポートについては、昔は本物のパスポートの顔写真部分を切り貼りする方法でしたが、直ぐ見破られるのでこの方法はなくなりました。その後は本物のパスポートをそこに貼付されている顔写真に似ている人に売っている時期がありましたが、これもすぐにバレます。最近はICチップが入っているのでパスポートの偽造は難しいようです。

在留カードの確認事項・・・

表面には氏名、生年月日、性別、国籍、住所、在留資格と在留期間、就労の可否カードの有効期限が記載されています。裏面には転居している場合の転居先住所、資格外活動許可の有無、在留資格の手続きの有無が記載されています。ポイントは就労の可否と在留期間内かどうかの2点です。裏面に在留期間更新許可申請中などのスタンプが押されている場合は在留期間が過ぎていてもオーバーステイではありません。在留カードは一つの手続きが許可されたら必ず新しいカードが交付され、カード番号も顔写真も変わります。在留カードは偽造のものが多数出回っているため、本物かどうかを確認する必要があります。

<在留カードの有効性・偽変造の有無の確認方法>

在留カード等番号失効情報照会

在留カード番号が失効していないかを確認できます。但し、実在する在留カード等の番号を悪用した偽変造もあるため、②③による確認も必要です。

② 目視による確認

在留カードには様々に特殊な加工が施されています。MOJの絵柄がピンク→グリーンに変化、カードの左端がピンク→グリーンに変化、顔写真のところのホログラムが3D的に左右に動く、顔写真下部のシルバーの文字ホログラムが角度により白黒変化。カードの裏面に透かし文字。いろいろと偽造防止の技術が織り込まれています。

在留カード等読取アプリによる確認(対応:Windows、macOS、Android、iOS)

在留カードに入っているICチップを読み取ることで本物かどうかを確認できます。このアプリを利用するのが最も簡単で確実な方法です。スマートホンを使う場合の手順は、ダウンロードしたアプリに在留カード番号を入力し、在留カードをスマホに当ててICチップの情報を読み取ります。本物のカードの場合は緑で検証結果が正常である旨の表示がされ、偽造カードの場合は赤で検証結果が異常である旨の表示がされます。

偽造カードであれば、密入国者または在留期限が切れた不法残留者です。偽造の在留カードを持っていることから悪質であると言えます。このアプリを使用することで密入国者、不法残留者等の採用を防ぐことができます。

2. 在留資格別の就労の可否

企業で外国人を雇用する場合、最も万能な在留資格は、就労に制限がなく在留期限のない永住者です。日本人の配偶者等や永住者の配偶者等も就労に制限はありませんが、離婚すると在留資格を失うため、離婚後も就労制限のない在留資格が維持できるかが課題となります。

では、在留資格別に見ていきましょう。

① 留学

留学生に対して付与される在留資格です。アルバイトのためには資格外活動許可が必要で、28時間/週という制限があります。この28時間というのは1社あたりではなく、掛け持ちの場合はトータル時間となり、時間の持ち越しもできません。今週は25時間だったから、来週は31時間というような運用は不可です。包括許可で勤務先の指定がないため、アルバイト先を変えることは簡単です。在留カードの裏面を確認すれば許可の有無を確認できます。但し、資格外活動許可を持っていても風俗営業には従事させられません。

学校を卒業した時点で資格該当性を失うため、アルバイトはできなくなります。アルバイト留学生を卒業後も正社員として雇用したい場合は、学校で勉強したことが生かせる職種があるかがキーポイントになります。

② 特定活動

「ワーキングホリデー、難民認定申請中、就職活動中」など様々な特定活動があり、活動して良い内容をパスポートに貼付された指定書で確認する必要があります。殆どの特定活動は資格外活動許可がないと就労はできません。「ワーキングホリデー」の場合はそのまま雇用したいとかそのまま働きたいという相談が多いですが、外国と交わした口上書の内容により手続きが異なるため注意が必要です。また、「介護」の特定活動もあります。(「介護」には他にも在留資格や特定技能、技能実習の制度もあります。)

③ 技術・人文知識・国際業務

最も一般的な就労の在留資格です。但し、研修目的以外で単純労働(レジ打ちや生産ラインでの組み立て作業など)をさせることはできません。この在留資格を持っているのは大学卒業若しくはそれと同等以上の教育を受けた人で、最近までどこかの企業で働いていた人若しくは現在どこかの企業で就労中の人です。退職したか転職希望かは面接で確認してください。

ここで重要なのが、この在留資格を与えられたのは前勤務していた会社又は現在勤務している会社で就労するためのもので、そのままあなたの会社で就労させられるかは分かりません。採用したいのであれば、出入国在留管理局で就労資格証明書を取るように指示しましょう。就労資格証明書とは、現在、外国人が持っている在留資格の範囲で「その外国人が就労することが認められていること」を外国人本人や雇用主が判断できるように証明する文書です。この証明書を取得する際に添付する書類(就労させたい職種や給与等の情報、給与については日本人と同等以上という条件があります。)については極力協力してあげましょう。

④ 企業内転勤

企業の外国拠点から日本の本社や支店、営業所等に期間を定めて転勤(グローバル企業のグループ内異動)してきた方が持っている在留資格です。仕事の内容は、「技術・人文知識・国際業務」と同じような業務をされています。この方があなたの会社に来たということは退職したか転職しようと考えている方と思われます。この在留資格の場合、就労資格証明書が取れません。「技術・人文知識・国際業務」の場合は大学卒業と同等以上の教育を受けている証明が済んでいる人ですが、「企業内転勤」の場合はそうではないため、一から在留資格(在留資格変更)を取ることになります。

⑤ 経営・管理

会社の経営者や取締役、支店長、工場長などに与えられる在留資格です。商業登記簿謄本や事業計画書を基に付与された在留資格のため、たとえ取締役として迎えるにしても審査された会社を辞めて別の会社に移る場合は、在留資格の変更手続きが必要となります。

⑥ 技能

外国料理の調理や製造、外国特有の建築や土木の熟練者が持っている在留資格で、その道10年以上の経験を持ったベテランの職人さんです。中国料理、インド料理など調理人が一般的ですので、雇用する側もコース料理をメニューに加えるなどの工夫が必要です。普通のラーメン屋さんやカレー屋さんでは雇用できませんし、就労の際には就労資格証明書が必要です。

⑦ 家族滞在

就労系の在留資格を持った方の配偶者や子供が持っている在留資格です。そのままでは就労できませんので、雇用するためには資格外活動許可が必要です。家族滞在の場合、包括許可(28時間/週以内で働く)と個別許可(包括許可の範囲外で働く)の両方を取得することも可能です。

⑧ 身分系在留資格

日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、永住者、定住者の在留資格のことです。これらの在留資格には就労制限がありませんので雇用可能です。配偶者系の在留資格は離婚すると在留資格がなくなるため要注意です。離婚後に取得可能な在留資格は「定住者(日本への定着性が問われる)」「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」です。「定住者」には就労制限はないためそのまま雇用が可能ですが、「技術・人文知識・国際業務」の場合は職種が限定されますので注意が必要です。

⑨ 特定技能

人材を確保するのが困難な特定産業分野で、相当程度の知識や経験を要する業務に従事するための在留資格です。試験に合格する必要があり、就労できる産業分野が決まっています。雇用後には登録支援機関によるフォローを受ける必要があるなど他の在留資格とは在留システムが異なります。特定技能には1号と2号があり、1号は通算5年まで在留できます。2号に移行する場合を除き、在留期間経過後は帰国することになります。2号については在留の年数制限はありません。2号に移行できる産業分野は、現在、建設業分野と造船・舶用工業分野のみです。

➉ 特別永住者

この方たちは在留カードではなく、特別永住者証明書をお持ちです。⑧と同様に就労に制限はありません。

⑪ 短期滞在

在留カードの発行はありませんので、パスポートで確認します。観光目的や親族訪問、収入を伴わない契約等の商用目的の在留資格のため、就労させることはできません。また、資格外活動許可を取ることもできません。

3. 雇用したら

外国人雇用状況の届出(提出先:管轄のハローワーク)

この届出を提出しなかった場合、30万円以下の罰金の対象となります。(インターネット経由の届出も可能)

所属機関による届出(提出先:出入国管理庁長官)

中長期在留者を受入れた機関は14日以内に届けること。怠っても罰則はありませんが、所属している外国の方の期間更新許可申請時に事実関係の調査を行う等審査に時間が掛かることがあります。(インターネット経由の届出も可能)

4. もし、就労できない外国人を雇用したら、、、

不法就労した外国人はもとより、雇用した事業主も処罰の対象となります。就労資格のない外国人を雇用した事業主は「不法就労助長罪」に問われ、懲役3年以下または300万円以下の罰金が課せられます。この罪は、不法就労について知らなかったという悪意のない事業者に対しても過失があれば適用されます。

在留資格には必ず期限があります(永住者を除く)。その期限が来る前に期間の更新手続きを経て許可を得なければ、引き続き在留することはできません。(注:永住者には在留資格の期限はありませんが、在留カードの期限はありますので、在留カードの更新手続きは必要です。)

在留期限を過ぎた場合、その時点で不法残留となるため、事業主としては罪に問われないようその時点で解雇し、出入国在留管理局に出頭するよう促します。ただ、雇用関係が既に成立している以上、普通解雇の形を取ることになり、30日前の解雇予告あるいは30日以上の平均賃金の支払い義務が生じます。

在留資格は外国人個人が管理すべきものなので関知しないという企業がありますが、前述のような罪に問われないように積極的に管理すべきだと思います。管理の方法は、「入社時やアルバイト採用時に在留カードをコピーする」「期間更新の3か月前に該当外国人に手続きを促す」「更新が許可されたら新しい在留カードのコピーを取る」ことです。必ず原本を確認してコピーを取ってください。念のため前述のスマホのアプリで確認しておきましょう。万が一困った時やどうしたら良いか分からないときは、必ず専門家に相談してください。在留資格には期限がありますので相談はお早めに。専門家でも期限が経過してしまったら対処方法はありません。

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