相談事例
CASE
2022.1 松尾
株式会社(特例有限会社を含む)からの申出により、商業登記所の登記官が、当該株式会社が作成した実質的支配者リストについて所定の添付書面により内容を確認し、その保管及び登記官の認証文付きの写しの交付を行う制度の運用が、2022年1月31日から開始されます。
現在既に株式会社設立時に公証人を通じて実質的支配者の確認が行われていますが、設立後も公的機関において法人の実質的支配者を継続的に把握することにより法人の透明性を図り、反社会的勢力による詐欺等の犯罪や資金洗浄等の目的による法人の悪用を事前に防ぐことが本制度の目的です。
※実質的支配者とは、法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人等をいいます。(上場会社又はその子会社は,自然人とみなされます。)
実質的支配者リストの作成は義務ではなく、作成しなくても罰則があるわけではありません。
しかし、既に犯罪収益移転防止法では、特定事業者(金融機関、不動産業者等)に対しこの法律に規定された特定の取引を行う際に実質的支配者の確認を義務付けており、今後は金融機関で口座を開設する際や融資の審査を受ける際などにリストの提出が求められるようになる可能性があります。また、特定事業者との取引以外の場面でも信頼性の確認手段として活用が広がることも考えられますので、作成しておくことをお勧めします。