相談事例

CASE

事業用定期借地権と普通借地権の違いを教えてください。

2014.1   担当者 の回答

事業用定期借地権を利用されるお客様が個人・法人を問わず増加しています。1992年(平成4年)8月1日施行の借地借家法にもとづく借地権(以下、「普通借地権」という。)との比較を簡単にご紹介させて頂きます。

1)「事業用定期借地権」とは

居住用ではなく事業のために土地を賃貸借する定期借地権の一形態です。事業用定期借地権には更新がなく、契約期間満了により当然に借地権が消滅します。また契約期間満了後は、原則として借主は建物を取り壊して更地で地主へ返還します。普通借地権による賃貸借の場合、土地を一旦貸してしまうと、借主が任意に返還しない場合、地主は高額な立退料を支払わなければならないリスクがあり、空いている土地があっても貸しづらい状況にありました。

事業用定期借地権にはその心配がなく、建物を建設して賃貸する建貸しに比べると、建設費用のための借入金や、建物のメンテナンス費用・固定資産税などの負担を負わずに地代収入を得ることができるため、低リスクの土地活用法と言えます。

借主側としては従前の事業用借地権の場合、存続期間が10年以上20年以下に限定されていたため、建物を建築した場合、最長期間の20年でも建物の法定耐用年数に満たず採算に合わないため、解体が容易で法定耐用年数の短い建物にするか、契約満了後に再契約を行うのが通例となっておりました。

2)法改正のポイント

これを受けて2008年(平成20年)1月1日施行の法改正により存続期間が10年以上50年未満に改正され、名称も「事業用定期借地権」に改められました。この改正により、従来のコンビニ・ファミリーレストラン・ガソリンスタンドなどのロードサイド店舗としての活用のほか、大型モールなど大規模な開発事業での活用も可能となり、広く普及しました。借主側にとっても借入金により土地を購入するより賃借した方が効率良く事業を展開することができる上に、事業用定期借地権を利用すれば地主も貸し易いため、好立地や広大地の獲得が容易になったためと思われます。

3)注意すべき点

  1. 店舗併用住宅、賃貸マンションやグループホーム・特別養護老人ホームなど居住用の建物を事業用定期借地上に建てることはできません。
  2. 事業用定期借地権の内容(更新がなく、土地が更地で返還される等)を借地上の建物の譲受人や抵当権者等の第三者に対抗するためには登記が必要です。

《事業用定期借地権の要件》

  • 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的とすること
  • 存続期間が10年以上50年未満であること
  • 契約は公正証書で締結

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