相談事例
CASE
2025.4 櫻井の回答
現在、日本の土地の約26%が「所有者不明土地」とされています。
「所有者不明土地」とは、
・登記簿で所有者がすぐにはわからない土地
・所有者が判明しても連絡が取れない土地
のことをいいます。
その大きな原因が、「相続登記」や「氏名・住所変更登記」が行われていないことです。
「相続登記」については令和6年4月1日から義務化がスタートしています。
これまで、不動産の所有者が役所で住所変更をしても、登記簿上の住所は自動的に変更されることはありませんでした。そのため、登記上の住所を変更するには、別途「変更登記申請」が必要でしたが、これは義務ではありませんでした。
しかし、令和8年4月1日からは、氏名や住所を変更した場合、その日から2年以内に変更登記をすることが義務になります。
正当な理由なく怠った場合は、5万円以下の過料が科されることになります。
この登記義務の負担を軽減するために導入されるのが、「スマート変更登記制度」です。
この制度では、所有者があらかじめ「検索用情報」を申し出ておくことで、住所等の変更のたびに登記申請をしなくても、登記官が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使って情報を確認し、職権で住所などを変更登記してくれる仕組みです。
検索用情報の申出を済ませておけば、住所等変更登記が義務化された後に変更登記申請をしなくても、義務違反に問われることはありません。
※なお、法人の場合は会社法人等番号が登記されていればスマート変更登記の対象となります。
登記官が住基ネットを使って所有者情報を検索できるようにするために、以下の5項目を「検索用情報」として事前に申し出る必要があります:
1. 氏名
2. 氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない方はローマ字表記。該当しない場合もあります。)
3. 住所
4. 生年月日
5. メールアドレス(ない場合は「なし」でも可)
① 登記申請と同時に申し出る(同時申出)
令和7年4月21日以降、所有権の保存・移転などの登記申請時には、検索用情報の申出が必須となります。
当事務所に登記をご依頼いただく際には、ふりがなやメールアドレスなどの情報をお尋ねしますので、ご了承ください。
② すでに所有権を持っている方が申し出る(単独申出)
すでに登記名義人となっている方も、自分で検索用情報を申し出ることができます。
弊法人で申出の代理をすることもできます。
Q. メールアドレスはなぜ必要?
→ 登記官が職権で住所変更登記をする前に、登記名義人に確認メールを送るための宛先として使用します。また、申出手続完了時にも、完了通知が送られます。
※できるだけ、本人のみが利用するメールアドレスを登録してください。
Q. メールアドレスがないと申出できない?
→ いいえ。メールアドレスがない場合は、住所宛に書面で通知されますので、申出は可能です。
Q. メールアドレスを変更したいときは?
→ 申出手続完了後に発行される「認証キー(10桁)」を使って、新しいメールアドレスに変更できます。
Q. 海外に居住する方はスマート変更登記制度を利用できる?
→ 海外に居住する方は、この制度の利用はできません。法務局で住所等の変更の事実を確認できないためで、住所等に変更があったときは、変更登記の申請をしていただく必要があります。
詳細は法務省ホームページをご覧ください:
https://www.moj.go.jp/content/001433157.pdf