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【お知らせ】司法書士に求められるマネーロンダリング・テロ資金供与対策が変わります。

2024.1   櫻井

読者の皆様には、司法書士と『マネーロンダリング・テロ資金供与』は余り関係がないように思われるかもしれませんが、平成20年から犯罪収益移転防止法により、司法書士は特定事業者として、「不動産の売買」「会社等の設立等」「財産の管理・処分」に当たる業務について、顧客等の「実在性(虚名ではなく現に生存していること)」「同一性(なりすましではないこと)」の確認義務記録作成義務が課せられています。

更に同法令和412月の改正で司法書士の取引時確認義務の対象事項が拡大され、「取引を行う目的」「自然人である顧客等においては職業、法人である顧客等においては事業の内容」及び「法人である顧客等においては、実質的支配者の本人特定事項」の確認義務も課されました。
この法改正には、同じく同法の特定事業者である銀行等に対する規制が効果的に実施されていることに伴って、マネーロンダリングが銀行等を通じる手段から、社会的信用がある法律・会計の専門家を取引行為に介在させることで正当性があるかのような外観を作出する方向へ近年シフトしている等の背景があります。
(例:事情を知らない司法書士に株式会社の設立を依頼し、その会社名義の口座を開設して詐欺等で得た犯罪収益を振込入金させる等)

これまで、不動産の売買の場合、事前に仲介業者や金融機関とは打合せをしますが、顧客(売主・買主)と直接面談するのは取引の当日であることがほとんどでした。しかし、取引の場でいきなり「あなたの職業は?」「貴社の実質的支配者はどなたですか?」とお聞きし、「疑義があるので取引できません」というわけにもいかず、事前打ち合わせが必要となると思います。この法改正は令和6年6月までには施行されます。顧客の皆様にはこれまで以上に踏み込んだご質問をしなければならなくなりますこと、何卒ご理解とご協力の程よろしくお願い申し上げます。

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